【番外編】イケメン警察官、最初から甘々でした。

夜。
久しぶりに自分のベッドでたっぷりと眠った美香奈は、
ほんの少し、声に張りが戻っていた。

寝室の扉を開けながら、
ふんわりと漂う匂いに顔をほころばせる。

「……いい匂いする〜。
涼介くん、何作ってくれたの〜?」

パジャマ姿のまま、台所を覗き込むと、
涼介が振り返り、木べらを手に答えた。

「ポトフと、卵サラダだよ。
……ご飯、食べれそう?」

「うん! お腹すいてる〜、食べる!」

元気な返事に、涼介は笑って「じゃあ、座ってて」と言い、
食器に料理を盛りつけ始めた。

しばらくして、
お盆にポトフの湯気と、優しい香りを乗せてリビングへ戻ってくると、
ソファでぼんやり座っている美香奈の姿があった。

「寒くない?」

そう声をかけると、彼女は小さく頷いた。

「……ちょっと寒いかも」

その答えに、涼介はすぐに立ち上がり、寝室へ向かう。

戻ってきた彼の手には――
あの、おなじみのゾウさん毛布。

「はい、これ」

そう言って、ふんわりと美香奈の膝にかけてやると、
毛布のやわらかな肌触りに、美香奈はふふっと笑った。

「なんか、また赤ちゃんみたいだね……」

照れくさそうにそう呟く彼女に、
涼介は穏やかな笑みを浮かべて、軽く肩をすくめる。

「赤ちゃんは、手が焼けるんだよ」

その一言に、美香奈はくすっと笑い、
「でも……嬉しい」と、小さく呟いた。

テーブルの上には、湯気の立つポトフと、
優しい味わいの卵サラダ。
そしてその空間には、
少しだけよくなった体と、確かに近づいた心の距離があった。