【番外編】イケメン警察官、最初から甘々でした。

帰宅して軽く昼食をとったあと、
美香奈は食後の薬を飲もうと台所へ向かった。

コップに水を注ぎ、
白い錠剤を口に含む――そのとき、
「けほっ……ごほっ、は……っ」

薬が喉にひっかかったのか、軽くむせてしまう。

「大丈夫!?」
どこからともなく飛んできた涼介が、
一歩で距離を詰めて、美香奈の背に手を添えた。

「苦しい? 一回座ろ? ね、無理しないで」

あまりの“過保護っぷり”に、美香奈は思わず吹き出しそうになったけれど、
今日は彼の言う通りにしようと決めていた。

「……はいはい」

素直に促されるまま、ダイニングの椅子に腰を下ろす。

涼介は、まるで病院の看護師のようにしゃがみ込んで目線を合わせると、
「……苦しくなったら、すぐ教えて? 絶対我慢しないで」と、
優しく、でも真剣な目で見つめてきた。

そして、美香奈の膝にそっと置かれた手を、
自分の両手でやわらかく包み込む。

(そんなに……心配しなくても……)

胸がじんと熱くなりながらも、
あまりに真面目な涼介の顔に、つい笑ってしまった。

「なんで笑うの?」

キョトンとした涼介の表情が、また可笑しくて。
笑いながら、美香奈は彼の頭に手を伸ばし、さらりと撫でた。

「だって、過保護すぎるんだもん……」

すると涼介は、ふわりと笑って言った。

「今は俺が、甘やかす番なんだよ」

そう言って立ち上がると、リビングのソファへ向かう。
すでに用意してあった、美香奈のお気に入り――
ゾウさん柄のフリース毛布を広げながら、手招きした。

「……おいで」

その一言が、まるで子どもを呼ぶように優しくて。
美香奈は、ふわりと立ち上がり、
そのぬくもりの中へと包まれるように歩いていった。

毛布が、涼介の両腕とともに美香奈をそっと包み込む。

「あったかい……」

美香奈の呟きが、毛布の中で静かに響いた。