【番外編】イケメン警察官、最初から甘々でした。

ナースステーション前の椅子に並んで座るふたり。
涼介は病院から渡された簡単な退院書類に、
代筆する形でペンを走らせていた。

「えっと……生年月日と、保険証番号と……」

と、涼介が視線を落としていると、
隣からぽつりと美香奈の声がした。

「……今日から、3日間はまだ強めの薬使うから、
絶対に休んでって言われたの。
できれば、5日は療養してって。
そのあと、もう一度病院で回復してるか確認して……って感じらしい」

その口調はどこか申し訳なさそうで、
でもどこか安心したようでもあった。

ペンの動きを止めずに、涼介は柔らかく返す。

「うん。今日と明日は、休み取ったから。
一緒に、ゆっくり休もう」

その言葉に、美香奈はわずかに目を丸くした。

「……お仕事、大丈夫なの?」

「大丈夫だよ。今から帰る途中にちょっと署に寄って、
細かい指示だけ出してくる。
信頼できる署員、たくさんいるから」

そう言って、にこっと笑ってみせる涼介。

その横顔を見つめながら、美香奈はふっと息を吐いた。

(……そっか)

言葉にはしなかったけれど、心の中にじんわりと思った。

(涼介さんって、ただ信頼されてるだけじゃないんだ。
ちゃんと、みんなを信じてる。
だから……自然に、みんながついてくるんだ)

それは、きっと簡単なようでいて、とても難しいこと。

小さく笑った美香奈の目が、
涼介の横顔をそっと見つめていた。

「……ほんとに、頼りになるなぁ」

思わずこぼれたその一言に、
涼介は横目でちらりと彼女を見て、
「ん?」と少しだけ首をかしげた。

「ううん、なんでもない」

美香奈は、少し照れたようにそっと笑った。