【番外編】イケメン警察官、最初から甘々でした。

紙袋を両手に提げて戻ってきた美咲と美香奈。笑顔で話しながらベンチに近づいた2人だったが、美咲はふと立ち止まり、目を真っ赤にした長谷川を見てぎょっとする。目を白黒させ、口元をパクパクとさせながらも声が出ない。

「え、えっ……長谷川さん? どうしたの? 誰かに怒られたとか…?」と戸惑う美咲。

美香奈も状況を察しきれず、無言のまま涼介に視線を向ける。「ねぇ、これどういうこと?」と目が語っていた。

そんな彼女たちの視線を感じながら、涼介はわざとらしく肩を竦め、無表情に近い顔で言った。

「彼女ができたのが、嬉しすぎて泣いてんだってよ。」

その言葉とともに、ポンと長谷川の肩を軽く叩く。

「そ、そんなことないですからね!? いや、ちょっと、うるっとは…しましたけど……」と、長谷川は慌てふためきながら否定を試みるも、もはや説得力はない。

美香奈はそんな3人のやりとりにくすりと笑い、「ゆっくりできたようで何よりです」と優しく言った。微笑みの奥には、涼介と長谷川の間に流れる深い信頼を感じ取っていた。

内心で――
《事件が起きたときも、日常の何気ない瞬間も。警察官として、そして人として。涼介と長谷川はかけがえのない、揺るがないパートナーなんだな》と、美香奈は静かに思った。