【番外編】イケメン警察官、最初から甘々でした。

ショッピング当日、集合場所にやってきた美香奈は、目の前に並んだ顔ぶれを見て思わず立ち止まった。美咲、長谷川、そして――涼介。

「……なんでいるの?」と視線で問いかけるように、それぞれの顔を交互に見やる。

すると、美咲が「長谷川さんは私が誘ったんだけど……神谷さんは……」

と言いかけたところで、長谷川が軽く手を上げて、

「いや、僕が美咲ちゃんと美香奈さんとショッピング行くって言ったら、神谷さんも“来る”って」

とニヤつきながら口を挟んだ。

それを遮るように涼介が無表情で、「女性陣だけじゃ心配だから来ただけだ」と静かに言う。


長谷川は納得いかない様子で、「いや僕だって、一応男ですし、しかも警察官なんですけど……」と反論するが、誰からも反応はなく、その発言は空気に溶けていった。


美香奈はすぐに空気を読み取り、ニッコリ笑って、

「じゃあ私たちは洋服をメインで見るので、何かあったら声かけますから。涼介くんと長谷川さんはゆっくりしててください」と、軽やかに仕切った。


それはまるで、「二人の間で火花散らさないでね」とでも言いたげな、平和を守るためのやんわりとした指令のようだった。