【番外編】イケメン警察官、最初から甘々でした。

涼介はソファに寄りかかりながら、ぶっきらぼうに言った。

「最低限の用事しか許してない。あいつは調子に乗るからな。」

その横で美香奈は、呆れたように笑って、

「そんな振る舞いしてたら、逆に署内でネタにされるよ?『神谷先輩、彼女関係になると超こえぇ』とか言われてるかもね。」

涼介は少し間を置いて、肩を竦めながら、

「別に。もう噂なんて散々回ってるし、隠すこともない。…誰かのせいで。」

その「誰か」に強く込められたニュアンスに、美香奈は思わずニヤリとして、

「あらあら、また甘えたいのかな〜?長谷川さんの言ってたことって、実は本当じゃないの〜?」

わざとらしく挑発するように覗き込むと、涼介はソファに頭を預けたまま目を細めて、美香奈を見上げる。

「……本当は俺だって、こんなことしたくない。でも、美香奈が、そうさせるから。」

責任を丸ごと押し付けてくるようなその言葉に、美香奈は「私のせいか」と内心で苦笑したが、口には出さずに、

「……はいはい、もう拗ね拗ねくんだね」

そう言って、優しく涼介の頭をポンポンと撫でる。涼介の髪の感触に、彼の温度が伝わる。

そして、美香奈はそっと笑って、

「お風呂、入ろっか?」

涼介は応えるように小さく頷き、重たげに体を起こした。二人の間には、穏やかで甘い夜の気配が満ちていく。