【番外編】イケメン警察官、最初から甘々でした。

涼介は美香奈の顔をちらと見てから、何かを決めたようにスマホを手に取った。無言のままロックを外し、数回画面をタップして通話を開始する。

ピッとスピーカーに切り替え、スマホをテーブルの上に置いた。すぐに、あの元気な声が部屋に響いた。

「神谷さん!お疲れ様です!どうしました?」

相変わらずのはつらつとした調子に、美香奈が思わず小さく笑う。その隣で、涼介はやる気のないような声でぶっきらぼうに返した。

「俺だ。……うちの彼女がお前に用がある」

「え、彼女って……橋口さん!?マジすか、神谷さんとこの女神が僕に用ですか、緊張するなぁ〜」
電話越しに聞こえる長谷川の声は、呑気で、どこか浮かれた様子すら感じられる。

美香奈は思わず苦笑しながら、涼介の方をちらりと見ると、彼は小さくため息をついてから、スマホを無言で手で押しやってきた。
(ほら、しゃべれよ)
そんな無言の圧を感じて、美香奈は小さく肩をすくめて、電話に向かって口を開いた。

「長谷川さん、こんばんは。あの、いきなりすみません……ちょっと、お願いがあって……」

美香奈の声が部屋に柔らかく響き、涼介はその様子を見ながら、ソファにふんわりと背を預けて、口元に小さな笑みを浮かべていた。