涙を拭いて走った。


静かな風だけが、私を震わせる。



ごめんなさい。

ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。



心で叫んで、どす黒いこの感情を消したかった。


悲鳴のような耳鳴りが、頭の中まで染み付いて離れない。





なんて言えばいいのかわからない感情だった。





・──*──୨୧──*──・





バタンッ


そう言ってドアが閉まってから、いきなり苦しくなった。

心臓がドクドクと早く脈を打ち、体が暑かった。


ゲホッゲホッ

終いにはむせて咳が止まらなかった。



足の痛みも、尋常じゃない。

当たり前だ。


いつもバスで30分の場所にある学校から、バスを使わず、そして何より走ってきたのだ。


痛くないはずがない。



走ってた時は、何も気にならなかった。

気になったのは、耳鳴りぐらいだし……。



無意識、というのは恐ろしいものだ。

こんな酷い痛みも忘れられる。