母が家から出ると、私も時計を確認して家を出た。

 -時刻は5時。まだ2人がいるかもしれない。

 小走りで、あの場所へと向かう。

 だが、そこに二人の姿はなかった。

 いつもなら、4時から6時くらいまでいるのに。

 そう思って、チャットを確認しても、「OK]という私の連絡に対する返信しか来ていなかった。


 今日は少し早く終わっただけなのかもしれない。でも、胸がざわつく。

 私は、通話の若葉さんのアイコンをタップして通話ボタンを押した。呼び出し音が鳴る。数秒後、若葉さんの声が聞こえた。

 「もしもし。芽生ちゃん?どうしたの?」

 「用事が早く終わったので、あの、2人と合流しようかな、と」

 「あれ、今日なくなったの言ってなかったっけ」

 どうやら、蕾ちゃんが他の友達と帰るということで、集まりが無くなったのだそう。

 チャットの方で送ったはずだよ。と、言っていた。


 若葉さんとの電話を切って、研究会のグループチャットを開くが、案の定、届いていない。

 「蕾ちゃんとのチャットだった。ごめん」

 研究会のチャットを開いていると、そう若葉さんから送られてきた。


 若葉さんと蕾ちゃんだけのチャット。そんなのが、あるんだ。

 3人で帰ってるはずなのに、そんな話聞いたことなかった。いつの間に、作ったんだろう。

 私、また仲間外れにされてるのかな。

 「2人のチャット、あるんですか?」

 研究会のチャットに、そう打ち込んだけど、やめた。

 若葉さんだけのチャットじゃなくて、研究会のチャットだし。それに、その発言は嫌味っぽいって、多分、嫌われる。

 仲間はずれにするなら、そのことをひけらかさないでよ。知らない方がよかった。

 知らなければ、まだ話に入るのが苦手なことで落ち込むだけで済んだのに。

 心の中がぐちゃつく。

 
 2人だけのチャットがあるなら、二人だけでも会ってるんだろう。3人でいる時、私は邪魔とか、思われてるんじゃないか。

 いったい私は要るのだろうか。

 一緒にいる2人にも邪魔だって思われてて、自分も居たところでもう、どうせ楽しめない。