ー放課後、それぞれが部活動や自主学習に取り組む中、私は長い廊下を歩いてとある場所に向かう。


向かった先は高校職員室。


律儀にノックを3回し、お決まりの文章を述べる。



「失礼します。1年3組の月島です。楓也先生お願いします。」



”月島”という言葉を発すると、言い終わる前に一人の先生が私を見る。


そして”楓也先生”と発すれば視線を私に向けたまま頷き席から立ちあがる。


飴色のカギを手に取り、私に目配せをして『ついてきて』というように前を歩く。


何も言わなくてもわかる。まるでお互いの心を読んでいるかのように。


歩いてきた長い廊下を戻り、右に曲がってまた長い廊下。


私の学年、11クラスもあるからなあ…。


少し歩くと、いつもの場所で足を止める。


先生の手にある飴色のカギを差し込み、ひと回しすればいつもの光景が広がる。