「家政婦の木葉さんだよ
ツリーの木に葉っぱの葉」
「へぇ、木葉さん。
変わった名字ね」
いや、名字じゃなくて…
と言いたかったけど、
太陽が手を離してくれない。
なんで言ったらダメなの?
「私は太陽の姉の雪です。
弟がいつもお世話になっております」
太陽が手を離した。
「あ、いえ…私の方こそ…」
「たい、携帯電話でなにやってるの?」
雪さんは太陽が持っているスマホに手を伸ばした。
「別に」
と言いつつ、高速でメッセージをうっているようだった。
「あぁ、木葉さん、
ひき止めてごめんなさい。
どうぞ」
と言って、雪さんは私に道を開けた。
「あ、ありがとう…ございます」
と言いながら、サンダルを履いて
玄関扉を開けたけど、
この後の二人がめっちゃ気になる。
お姉さんは、なんでここに来たんだろう。
家政婦マニュアルを読んでも
お姉さんのことは何も書かれていなかったし、
私物もなさそうだから
ここに頻繁に来ているわけではないと思う。
玄関扉のすぐそばには、
高そうなスーツケースが置いてあった。
バーコードみたいなタグがついてるから、
飛行機で来たみたいだ。
よし、ちょっとだけ会話を聞かせてもらおう。



