そんなこと言われても、
私はあの夜のことなーんにも覚えてない。
だからこの話に関係ない!

「離してよ。もう寝る」
「言うまで離さねぇ」

頑なだな…

「~~~もう!靴を忘れたの!
サンダル!!
脱いで車に乗っちゃったの!」
「あ?なんで?」
「だって…ウン千万円の新車なんて、
汚したら大変だし…」
「で、家みたいに裸足で入った?」
「そ、そーだよ!バカでしょ?!
だから言いたくなかったのに!
私いっつもバカでついてないんだもん。
不運ばっかりなのはバカだから。
何やってもうまくできないし、
笑われてばっかで、
できないだけならまだしも
人に迷惑ばっかりかけてうざがられるし…
だから話したくなかったのに!」

しまった。

つい…
自分のことを大声で話してしまった…
面倒くさいやつだと思われたかも。

「他の兄弟にも言って、
三人で爆笑したらいいじゃん」

雷の腕を振り払おうとしたけど、
びくともしなかった。

「言ってもいいけど、
あいつら笑わねーよ。
つーか…むしろ…」