一夜を共にしてしまったらしい彼に
質問してみる。
「あのー…、ここはどこですか?」
「俺の部屋」
「すみません。
どちら様でしょうか」
「こっちがききてぇよ」
「!!
すみません…
私は、草詰です」
「草詰、おめぇ昨日何したか覚えてっか?」
「いえ、全く、すみません…
何があったのかは部屋を見て察してますが」
「これ、全部おめぇがやったのな」
彼は部屋中に散乱した壊れた家具や置物、
荒らされたクローゼットに破りすてられた衣類を指差す。
「やってません…たぶん」
「はっ。なんも覚えてねーのなぁ」
はい。
そもそも記憶飛ぶまで
お酒を飲んだことがないから、
そうだったとしても信じられない。
「すみません…弁償しますので」
「できんの?」
「時間はかかると思いますが…」
「死ぬまでに払える額か?」
「……え、そんなに?」
「億いくぞ」
「うそ…」



