なんだそういうことか。
私はただ利用されそうになっただけなのか。
無駄毛のお陰で助かった。
「木葉ちゃんを利用しようなんて
思ってないよ。
ただ寂しくて…」
「いい大人が失恋して
寂しくて夜一人でいられないなんて
言わないでください」
朔さんはスマホを触りながら言った。
「……」
「家政婦に手を出すなんてありえないです。
女なら誰でもいいんでしょうけど」
「だから出してないって!
誰でもよくない」
「毎晩違う女の子を連れ込んで、
真夜中に僕の部屋まで変な声が聞こえてきましたが?」
「それは…
え?きこえてた?」
「なんで僕がここに帰らなかったか、
もうわかりますよね?」
そういうことだったのか。
確かにそれは…
帰りたくなくなる…
この家、一部屋一部屋が大きくて、
家みたいだから、
隣の部屋の音は聞こえないけど、窓を開けたり、
入り口ドアの方からは聞こえるのかな?
「わ、悪かったよ…
それに最近は家でしてないでしょう?」
「草詰さんが来てからですよね。
なぜ止めたかは知りませんが。
草詰さんに手を出そうとするなら許しません」



