「それはいつも感謝してるよ。
ってゆうか、この卵焼きが作れるようになったのも、
雷のおかげだし。
ありがとね」
「…んな、目輝かせて見んなよ……」
ただ卵焼きが作れるようになっただけで、
この喜びよう。
きっと料理する他人から見れば、
バカっぽくみえるだろうけど、
私にとってはすごいことだった。
ずーっと冷凍食品か
ファストフードかお弁当で生きてきて、
キッチンに立ったこともなかったからね。
「あのさ、卵で忙しいところ悪いんだけど」
雷はポケットに手を入れて、
キッチンの入り口にもたれかかりながら言った。
「俺の部屋の壊れた家具、
全部処分したから今なんもねぇのな」
!!!
…で、ですよね。
「ほんとにごめんなさい…
えっと…ダンボールでよかったら、
即席のタンスを作れるけど…
実はダンボール工作は得意で」
とその時、
雷の熱い眼差しを感じて口を閉じた。
「ん?」
どうしたんだろ?
そんな真剣な顔して。
「あー、んと…
次の土曜日、俺に付き合って」



