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こうして私は、必死に料理の勉強をした。

あの一夜に手に入れたブランド品は
全部売り払って、
格安スマホとお料理教室代に充てた。
余ったお金はもちろん残しておく。


仕事で買い出しに行ったついでに
練習用の食材も買っておき、
仕事が終わったら、
自分の部屋のキッチンで
夜遅くまで料理教室のおさらいをする。


私は全く向いていないのか、
料理教室の先生には
「今まで見た生徒の中で一番料理のセンスがない人」
とキッパリ言われたし、
相変わらず太陽は、笑顔で謝りながら残すし、
朔さんなんて外で食べて帰ってくるし。

あからさまだわ。


私はお腹いっぱい食べられない人生を
送ってきたのに、
なんて贅沢な人たち!


でも諦めない!
こういう人たちを唸らせたい。

習ったことを太陽を実験台に
アウトプットしてみた。