太ももに氷のうを置いている太陽と
テーブルについた朔さんが、
目の前に置かれた『何か』を見つめる。

「オムライスです」
「見えないですね」
「見えるよ、木葉ちゃん」
「見えません。
焼きすぎたスクランブルエッグが
乗っている半分焦げたご飯です。
これを食べるんですか?」

グサッ!
さすが、朔さん、的確だけど…傷つく。

「さっくん!
なんでそんなこと言うの?
作ってくれたのに」
「なんでって、
見たままを言っただけですが。
それに作ってくれたって、
この人の仕事でしょう?
ちゃんと給料ももらってるわけなんですから、
それなりのものを作ってもらわないと。」
「すみません、作り直します。
直せるかわからないけど」

そうね。これは仕事。

でも、私は新人!
できないことはあるけどこれからの働きに期待して許して!


巨大な鏡のようにテカテカした冷蔵庫から
また同じ食材を取り出してくる。
次こそは…なんとかしたい。

「さっくん、鬼だね」
「いや、作り直してとは言ってません」
「かわいそうな木葉ちゃん。
あーあー、見てよ、泣いてるよ?」

うっ…くっ…玉ねぎ、目にしみるぅぅう!
涙が止まらん!

「さっくんのせいで」
「え…?」