ご主人様は糖度高めの三つ子様




雷は、
タオルで髪を拭きながら部屋から出ていく朔さんを睨みつけた。



はぁ…
…私ってどこ行ってもこんなこと言われる。
もし死んだら、
めっちゃ出来るバリキャリとかに転生したいなー。

といっても、これは仕事!
転生もできない!うん!
やらないと総額、うん億円の家具を
弁償しなきゃだから!


「雷さん、すみません、
あとはやりますので座っててください」
「さんやめろって。
あと敬語いらねぇ」
「でも…」
「命令」
「雷、座って」
「切り替えはえーな」

ちょっと驚きながらテーブルに
つく彼を見ながら私は腕まくりをした。



さぁ、私の初仕事!
卵焼きを焼きます!(人生初)

あ、でも、そもそも卵焼きって食べたことないかも…
家で出たことないし、給食で出たこともないし…
なんか四角く焼くんだよね?
何かで見たことはある。

卵を割って混ぜる。
フライパンに流す。
さあどうやって四角くしようか…(汗)

「お前もしかして、料理苦手?」
「苦手というか、何もできません」
「何も?まじかよ…」
予想外の返答だったらしく、
若干引いているように見えた。

ですよね…
家政婦として雇ったのにここまでポンコツだったとは!
みたいな。

「ごめんなさい…
家庭料理もあんまり食べたことなくて、
こういう朝御飯って未知…」

雷はしばらく黙ってから
椅子から立ち上がるとキッチンに戻ってくる。



「今から俺が作るから一発で覚えろ」