「あれ?雷いたの?」
「離れろ。出ていけ」
「なんで?
俺が木葉ちゃんを案内してんだけど」
「木葉『ちゃん』……?は?」
雷さんは顔をしかめた。
「なに?」
「いーから俺に替われや」
太陽さんは呆れたようにため息をつく。
「はいはい。
じゃあ、木葉ちゃん、
今度、俺の部屋見せてあげるね」
雷さんは私の頭を撫でながら部屋を出ていく
太陽さんを睨み付けて
「あいつの部屋とか行くなよ」と
私に言った。
「いい忘れてたけど」
「はい」
「お給料は出るから。
一応雇用してるから。
その辺ちゃんとしねぇとな。
契約書もある」
「えっとじゃあ…
いったんお給料として頂いて後で
そのままお返ししたらいいでしょうか」
「いや、ちまちま返されても面倒くせぇ。
ある程度の額たまったら」
「わかりました。」
でも…
この人たち(お金持ちの人たち)にとって、
まとまった額っていくらなんだ?!
「それと」
「はい」
「必要なものはこのカードで買え」
雷さんはポケットからクレジットカードを出した。
「では、食料品や家の備品はこれで買ったらいいんですね?」
「あと、お前が使うものもな」
あー、エプロンや手袋のことだな。
「わかりました」
「お前の食費もこれで」
「え?!いやいや、そんなこと…」
と断りつつ、断ったら自分は餓死する
と気づいて言い直す。
「あ、いいんですか?!」
「福利厚生として」
「ありがとうございます…!」
ほ、ほんとに?!
「この部屋のもンは何でも使え。
前に働いてた奴が置いていったもンだから」



