川本さんも他のみんなと呼べる他人達も私がどんな気持ちで、あんなことをしたのかきっと誰も理解することはないだろう。
「咲良は……っ、優しくて誰にでも親切で何より誠実で純粋な子だった。誰かに恨まれるような子じゃなかった」
「そうだね……」
確かに咲良は絵に描いたような優等生で、まるで絵を描く前の真っ白なキャンバスのように心が綺麗で純真無垢な子だった。
だから時折、私は強い憤りを感じた。
だって咲良は私がうまく絵が書けなくても『上手だね』と私を褒めた。
母が病気になったときは『なんでも話を聞くからね』と私に言った。
節約のためになかなか画材が新しく買えない私に『沢山あるから』と自分の私物を分けてくれた。
でもね、咲良。
──私はちっとも嬉しくなかったよ。
だって咲良にとって私は自分よりも劣っている、弱い可哀想な人間だと言われてるみたいだったから。
「自業自得なの。私も咲良もどっちもどっちなの」
「ふざけないで! あんたのせいで咲良は……っ、あんたさえ嘘つかなかったら咲良は……!」
「そうね……だから嘘をついた」
「何言ってるの?」
私は咲良から二度目の大賞を受賞についての事前連絡があったと教えてもらったとき決心した。
咲良の持ってるものを奪うことを誓った。
だから一生で一度の最大の嘘をつくことにした。
そう決めてからの約三週間は、本当に目まぐるしい日々だった。
「咲良は……っ、優しくて誰にでも親切で何より誠実で純粋な子だった。誰かに恨まれるような子じゃなかった」
「そうだね……」
確かに咲良は絵に描いたような優等生で、まるで絵を描く前の真っ白なキャンバスのように心が綺麗で純真無垢な子だった。
だから時折、私は強い憤りを感じた。
だって咲良は私がうまく絵が書けなくても『上手だね』と私を褒めた。
母が病気になったときは『なんでも話を聞くからね』と私に言った。
節約のためになかなか画材が新しく買えない私に『沢山あるから』と自分の私物を分けてくれた。
でもね、咲良。
──私はちっとも嬉しくなかったよ。
だって咲良にとって私は自分よりも劣っている、弱い可哀想な人間だと言われてるみたいだったから。
「自業自得なの。私も咲良もどっちもどっちなの」
「ふざけないで! あんたのせいで咲良は……っ、あんたさえ嘘つかなかったら咲良は……!」
「そうね……だから嘘をついた」
「何言ってるの?」
私は咲良から二度目の大賞を受賞についての事前連絡があったと教えてもらったとき決心した。
咲良の持ってるものを奪うことを誓った。
だから一生で一度の最大の嘘をつくことにした。
そう決めてからの約三週間は、本当に目まぐるしい日々だった。



