純愛×未満



「ねぇ、真白。最近、ちょっと授業サボってない?」

三時間目が始まる前に教室に戻ると、友達から指摘をされた。

「えっ、あー、うん……。ちょっとね、同中の先輩が、遊ぼって誘ってくれるから、断れなくて」

間違っては……いない。一応。

「そうなんだぁ。中学の時って、上下関係きびしかったもんね。そういえば先輩って、前に廊下で会った人、同中の先輩なの?」

スカーフを結んで笑う姿を、思い出す。
それは、つい先ほどの出来事。

「う、うん。陸上部の時の先輩だよ」

保健室での行為がバレたわけでもないのに、声が上ずってしまう。

「あの人、かっこよかったよねぇ。ね、名前は?」

どうして、そんなことを聞くの。

「黒川……先輩」

あーあ。またひとり、先輩の名前を知った女子が増えた。

……別に、あたしには関係ないけどさ。

先輩のことなんて、好きじゃない。
これは、嘘じゃない。

なのに、なんで一瞬、名前を教えたくないって思っちゃったんだろう。