純愛×未満

「うわ、本当に上手い」

「だろ? 手先器用だからさ」

「女のスカーフ結び慣れてるとか、キモいですね」

「慣れてねーよ、初めてだわ」

そういえば中学の頃、部活の休憩中に黒川先輩が、グラウンドの砂に指でアニメのキャラを描いていたことがあった。

顔に似合わず、無駄に上手かった。

周りで女子部員がキャーキャー騒ぐ中、あたしはその近くで、顧問の先生と喋っている方が楽しかったけど。

「てか、先輩がスカーフ解かないでくれたら、わざわざ結ばなくてよかったんですけど」

「それはやだ。脱がさないと、ちゃんと見えないし」

「変態」

「お前、年上を(うやま)うとかないわけ?」

「黒川先輩以外の年上は、敬ってますよ」

先輩はまた笑い、あたしの頭をぽんぽんと二回軽く撫でた。

「今度からは、俺が結んでやるよ」

先輩が触れたところが、あたたかくて。

胸の中で、変な音を立てた。