純愛×未満

「部活やってたら、女と付き合う時間なくなるしね」

「はは……」

愛想笑いで返す。

うん、こういう人。
こういうところが、中学の時から本当に苦手だった。

やっぱり理解できない。

彼の何がいいのかも、特技をやめてまで誰かと付き合う時間を作りたがる、彼のことも。

先輩なら、恋をいっぱい知ってるんだろうな。

今までどれくらいの人と付き合ってきたんだろう。

どれだけの経験があるんだろう。

そんなふうに考えてしまったのはきっと、苦手だったはずの先輩と、思ったより会話が気まずくなかったから、だと思う。

「先輩って、常に彼女いますよね。いつもどんなことしてるんですか?」

「は、なに? お前からそんなん聞くと、なんかビビる。中学の時は、そういうの全然だったじゃん」

「そうでしたっけ」

「俺のこと、ゴミを見るような目で見てただろ」

「まさかそんな、先輩相手に」

やば。バレてたか。
さすがにゴミとは思ってないけど。
クズだと思っていただけで。

「友達がね、毎日ずっと好きな人の話とか、彼氏欲しいなって話ばっかりするんです。でもあたし、よく分かんなくて。先輩なら、知ってるかなって」

「……知りたい?」

黒川先輩は、あたしの頬にためらいもなく触れる。

やっぱりクズだ。

でも、知りたい。
教えて。

それだけだから、別に先輩じゃなくていいの。

恋のはじまりは、いらない。最後だけでいい。

――その日から、始まった。