純愛×未満


真白(ましろ)じゃん、久しぶり」

黒川(くろかわ)先輩……?」

翌日の、水曜日。
一時間目の数学が終わり、友達と三人でトイレに行こうとすると、中学の時、部活が同じだった先輩と鉢合わせた。

同じ学校だとは知っていたけど、学年が違うと滅多に会わないから、存在自体忘れかけていた。

正直、黒川先輩のことは、あまり好きじゃない。

すぐ彼女を作っては別れ、その繰り返しで。風船よりも軽い男。
私が黒川先輩に抱いていた印象は、そんな感じ。

何で、うちの学年の階にいるんだろう。

「真白、わたしたち先行ってるよ?」

「うん、後で追い付くね」

友達ふたりに先に行ってもらって、先輩に向き直る。

いくら苦手だからって、ここでまともにあいさつもしないで去るなんて、出来ないし。

「お久しぶりです。先輩、高校では陸上やめたって、本当ですか?」

「まぁな」

「もったいないですね。速かったのに」

黒川先輩は、中学では陸上部の部長だった。

走る姿がとても綺麗で、彼が走り始めれば、皆自分の動きを止めて見惚れてしまったくらい。
特に、女子。

顔も、まぁ……イケメンの部類。多分。
好みじゃないから分からないけど。