純愛×未満

「待てって言ってんだろ! なに逃げてんだ!」

「せっせっ、先輩が追っかけるから!」

走っている最中に喋って、舌を噛みそうになる。

あたしは、元陸上部。
だけど、先輩だって元陸上部。しかも部長だった人。

中学時代、一度だって先輩に勝ったことはない。
つまり、

「きゃあ!?」

「お前、俺に足で勝てると思ってんのか」

すぐに捕まってしまった。

強い力で腕をつかまれて、声も出せない。
顔が熱くなる。

――『キュンってなるの』

今、先輩が傍にいて思い出すのは、そんな言葉。

「何で、今まで来なかったんだよ」

いつもは穏やかな先輩の声が、怒ってるように聞こえる。