東日本を統一する三つの巨大勢力。
No.1 百鬼夜行
No.2 八咫鴉
No.3 Bloody Butterfly
あたしはBloody Butterfly、通称“B2”に所属している。
“B2”とは規律と秩序を守る正統派暴走族として表世界では人気の高い暴走族で、系列を併せれば東日本三大勢力一の戦闘数を誇る。
“B2”の拠点は東都の双児区。主な活動範囲は双児区と金牛区とされている。
メンバーの数は約80人。15歳から20歳未満の少年少女らで構成され、その内総長と副総長を除いた幹部は8人。
特攻部隊
遊撃部隊
親衛部隊
諜報部隊
メンバーは四つの部隊に組み分けされ、各部隊の隊長及び副隊長が幹部と呼ばれている。
各部隊の隊長は総長及び副総長の推薦によるものだが、副隊長だけは各隊長にのみ決定権があり、そのため特攻部隊・諜報部隊の副隊長は適合者無しと言う最もらしい理由で何年もの間欠員が出ていた。
それが半年前、ひょんなことから副隊長に指名された一匹狼の不良がいた。
その者は不良には珍しい黒髪に黒い瞳で、一見平凡なその特徴は瞬く間に知れ渡った。
その見た目から「“B2”の新参者はお情けで幹部の椅子に座っている形だけの副隊長」「奴を倒せば一躍その名を世間に知らしめることが出来る」「若しくは自分がその後釜に座れるかもしれない」と彗星の如く現れた彼女は不良達の絶好の的となった。しかし実際は彼女に挑み泣きを見たのは星の数。次第に“B2”が支配する街で彼女に刃向かう者はいなくなり、その名は徐々に東都全域へと知れ渡ることとなった。
―――奴の姿を見たら必ず逃げろ。
―――アイツは化け物だ。
そう噂され、不良達のブラックリストに載った。
光に群がる蛾のように人々を惹き付ける月光花。
艶やかな黒髪と黒曜石の瞳はまるで全てを飲み込んでしまうブラックホールのよう。
またの名を、―――紅蝶。
それがあたし、“B2”の特攻部隊副隊長である日下部海の正体。
こう見えても正真正銘本物の女だ。
そしてこの2人も。
「海ちゃん、彼氏なんて嘘だよね!?いないよね!?僕絶対許さないから!!」
「いるわけないじゃん、彼氏なんて」
「本当!?嘘吐いたら小指から1本ずつ指詰めして、舌引っこ抜いて、泣いて命乞いしても海ちゃんと別れるまで絶対許さないからね!!男のこと!!」
「だからいないって」
遊撃部隊副隊長の桃。
可愛い顔して言ってることがえげつない。流石(小)悪魔。
「本当に大変だったんですよ。桃くんと尚哉くんはどっちが海さんを連れ戻すかで喧嘩するし、冠葉さんはオーラで人が殺せるくらいの殺気出して毎日ピリピリしていて総長が止めに入らなかったら今頃地獄絵図でしたよ確実に」
「ファイト」
「何の応援ですかそれ!?」
全然見えないけど、親衛部隊副隊長の伊月。
この2人があたしより年上なんて言うから信じられない。
まさか南城に来てまでこの2人に会うなんて思ってもみなかった。
こんなことなら別の高校にすれば良かった。出来たらの話だけど。
「最悪…」
「何が最悪なの?」
お前等のせいだよ。
そう言ってやりたいところだが、また煩いこと言われそうだからやめとこう。
「こっちの話。それより自分の傘は?さっきまで差して………え」
いつの間にかあたしの傘の中に入って来ていた桃の手には先程まで差していたはずの傘がなかった。
傘どころか通学用のスクールバッグすら持っていない。
どこにやったのかと視線を彷徨わせると、桃の傘とスクールバッグを大切そうに抱える伊月の姿が目に入った。
「伊月、それ…」
「あ、これは桃くんの傘とスクバです。こっちがヒサくんのお弁当で、こっちが梓さんの…」
「まだ持ってたんかい」
「海ちゃんのも持とうか?」
「持とうかって…、誰に持たせる気?」
「勿論すーちゃんが持ってくれるよ!大丈夫、すーちゃんはこう見えても力持ちだから!ねぇ?」
「こう見えても数少ない長所なんです。だから海さんのも持ちますよ。スクバ?傘?それとも両方持ちましょうか?」
「やめろ、ヘタレ菌が移る」
「ヘタレ!?しかもバイ菌扱い!?」
「やーい、すーちゃんのヘタレー!バイキーン!」
「僕はヘタレでもバイ菌でもないですよ!そんなこと言うなら自分の分は自分で持って下さいよ桃くん!」
「んー?何か言ったー?よく聞こえなかったんだけどもっと大きな声でハッキリと言ってくれないかなー(黒笑)」
「すいません調子になりましたぁぁあああ!!!!」
小悪魔様に逆らえないヘタレに溜息が漏れる。
いつまで経っても終わらないやり取りに癖壁し、伊月の尻を蹴り飛ばして校舎の中へと移動させた。

