あたしは何も見えてなかった。 感情に任せて喚き散らすあたしを見て口元に緩やかな笑みを浮かべて満足げな顔をする佐倉のことも、そんなあたしを見て怪訝そうな表情を隠そうともしない此花のことも、屋上から注がれる五対の視線にも。 「―――ミツケタ」 そう呟く彼女の声にも。 私は何も気付いていなかった。