「1-G?」
「ここが俺達のクラスな」
教室の前で立ち止まる。
教室の中はかなり騒がしく廊下にまで漏れる声に眉を顰める。
「海ってさ、南城のことよく知らないだろう?」
「逆に知ってると思う?」
「思わない」
だったら聞く。
「だから簡単に説明するけど、南城は1年から3年までAからGの七つのクラスに別れてて…」
「多っ」
「マンモス校だからな。それと南城はA組が特別進学科で通称“特進”、B組が特別選抜科で通称“特選”、CからG組が普通科になってる。それでEからG組はほぼ全員が暴走族かレディースに所属しているから所謂“不良科”って呼ばれてるんだ」
「不良科?」
恋ちゃんが言ってた奴か。
通りで進学校の割に騒がしいわけだ。
「宮地さん達から聞いたと思うけど、ここの生徒の1/5は不良だから一般の生徒に危害を加えないように本館にはAからD組、別館にはEからG組が入ってるんだよ」
「ふーん…」
成程ね。“四神”を掲げるだけはある。
一般人に対する不良対策も抜かりはないってことか。
でもここまで明確に線引きしていると色々と波風立ちそうな気もするけど…、あたしには関係ないか。
ガラッと、ドアの開く音にハッと我に返る。
……は?
尚哉は何の前触れもなく教室のドアを開けた。
その奇行に一瞬頭を疑ったが、当の本人はあたしを1人廊下に残してスタスタと教室の中へと入って行った。
「はよ」
何暢気に挨拶してんだよ!
あたしまだ心の準備出来てないんだけど!
そんな心境を悟られないように平静を装って肩に掛けていたスクールバッグの位置を調節する。
「あ、尚哉さん!おはようございます!」
「尚哉くん、おはよう!」
次々と飛び交う尚哉を呼ぶ声。
その様子にあたしは驚きを隠せない。
「ふーん…」
尚哉のこう言うところは初めて見た。
あたしの知ってる尚哉は「……友達?何それ?それって必要?」とか普通に言っちゃう奴だったのに、いつの間にかちゃんと友達やっていて驚いた。凄い凄い。
(まあ、あたしには必要ないけど…)
教室の外から室内を見渡す。
G組の人数は大体25くらいか。
しかもカラフルな頭ばっかりで頭悪そう。人のこと言えないけど。
不良科と呼ばれるのも頷ける。
「不良、か…」
自然と溜息が零れる。
不良でも、はみ出し者でも、何だっていい。
今自分がどの位置にいて、どう格付けされていて、周囲からどう思われていようと後悔はしていない。
ただ申し訳ないとは思う。
こんなあたしがあの人の で…。
「おーい、海もこっち来いよ」
人が感傷に浸っている時に暢気な声であたしの名前を呼ぶ尚哉が教室内に手招きする。
その声に釣られてクラスメイトの視線が一気にあたしへと集中する、―――が。
途端、耳が痛いほどの静寂に包まれクラスメイト達の顔が見る見るうちに青ざめていくのが分かった。
「え、あの子…」
「まさか、その、人…っ」
無意識に言葉を漏らすクラスメイト達に嫌悪感を覚え、スッと目を細めた。

