診察が終わり、美香奈が病室に移されたと知らされたあと、
神谷は何も考えず、足を向けていた。
病棟の廊下は夜間特有の静けさに包まれていた。
歩く足音だけが響くその空間で、神谷は無意識のうちに――
彼女の病室の前に立っていた。
面会はまだ許されていない。
もちろん、それは理解していた。
それでも、どうしても、
この目で彼女がそこに「いる」と確かめたかった。
ドアは閉じられ、カーテンの隙間からも室内は見えない。
ただ、小さく灯った室内灯のあかりが、静かにドアの下から漏れていた。
神谷はしばらくその場に立ち尽くしていた。
何も聞こえない。
でも、あの夜のことを、呼吸の浅さを、震える指を――彼は忘れていなかった。
そのとき、ポケットの中でスマートフォンが鳴った。
画面に表示されたのは、署の副署長の名前。
「神谷。君には刑事課の初動捜査班に加わってもらう。
現場の警察官としての判断も重要だった。直接、事情を聞かせてほしい」
神谷は短く「はい」と返した。
電話を切ったあと、もう一度だけ病室のドアを見つめる。
(……必ず、終わらせる)
そう心に誓い、彼は静かに踵を返した。
神谷は何も考えず、足を向けていた。
病棟の廊下は夜間特有の静けさに包まれていた。
歩く足音だけが響くその空間で、神谷は無意識のうちに――
彼女の病室の前に立っていた。
面会はまだ許されていない。
もちろん、それは理解していた。
それでも、どうしても、
この目で彼女がそこに「いる」と確かめたかった。
ドアは閉じられ、カーテンの隙間からも室内は見えない。
ただ、小さく灯った室内灯のあかりが、静かにドアの下から漏れていた。
神谷はしばらくその場に立ち尽くしていた。
何も聞こえない。
でも、あの夜のことを、呼吸の浅さを、震える指を――彼は忘れていなかった。
そのとき、ポケットの中でスマートフォンが鳴った。
画面に表示されたのは、署の副署長の名前。
「神谷。君には刑事課の初動捜査班に加わってもらう。
現場の警察官としての判断も重要だった。直接、事情を聞かせてほしい」
神谷は短く「はい」と返した。
電話を切ったあと、もう一度だけ病室のドアを見つめる。
(……必ず、終わらせる)
そう心に誓い、彼は静かに踵を返した。



