イケメン警察官、感情ゼロかと思ったら甘々でした

神谷の姿を見た瞬間、張りつめていた美香奈の表情が崩れた。

瞳の端に涙が浮かび、唇が小さく震える。
その直後、呼吸が早まり、胸が浅く激しく上下する。

「ゆっくり呼吸しましょうね。ゆっくり、ゆっくり……大丈夫ですよ」

救急隊員がやさしく語りかけながら、肩を軽くトントンと叩く。

「ゆっくり呼吸していると、段々と楽になってきます。その調子でもう少しの間頑張りましょうね。」

隊員は声を抑えたまま、やわらかく問いかける。

「手足にしびれはありませんか? 動かしにくいところは?」

そう言うと、手袋越しに彼女の手首を取り、そっと手のひらを開かせる。
指の動き、反射の有無を確認しながら、次に足元へ視線を移す。

足首をゆっくり押し返すように動かし、関節や筋肉の反応を確かめる。

(大きな硬直は見られない……)

隊員は一瞬だけ顔を上げ、神谷の方に目を向ける。

「呼吸をしやすくするために、上体を少し起こしていただけますか」

神谷は無言でうなずいた。
彼女の背に手をまわし、慎重に身体を起こして、自身の胸元にそっと預ける。

その瞬間、美香奈の体がかすかに震える。

制服越しに伝わる温もりと、深く響く一定の鼓動。
それが、いまの彼女にとって唯一信じられる感覚だった。

「大丈夫、そのままで。ゆっくり呼吸を続けましょうね」

隊員の声が再び、そばで静かに響く。

やがて、美香奈の呼吸はわずかに落ち着きを見せはじめる。
胸の動きも少しずつ、緩やかなリズムに変わっていった。