イケメン警察官、感情ゼロかと思ったら甘々でした

しばらくのあいだ、ふたりは玄関先で黙って並んでいた。

神谷は一言も発さないまま、ただそっと頭に置いた手を引っ込める。
その動きさえ、どこまでもやさしかった。

「……そろそろ、失礼します」

低く穏やかな声。

「必要であれば、巡回時間を合わせて調整できます。
不安があれば、またすぐに連絡してください」

その“個人的な関わり”を控えながらも、
気持ちは明確に伝えてくれている。

「……はい。今日は……来てくれて、ありがとうございました」

美香奈の声は、わずかに震えていた。

「おやすみなさい、橋口さん」

神谷が背を向けたその瞬間、胸の奥にぽたりと落ちた何か。

(――寂しい)

ほんのわずかだったはずなのに、
その背中が遠ざかっていくたび、心に空白ができていくのを感じた。