イケメン警察官、感情ゼロかと思ったら甘々でした

事務所での用事を終えて外に出たとき、アパートの前で制服姿の神谷が待っていた。

美香奈の姿を見つけた神谷は、小さく会釈する。

「午後の巡回で、ちょうど近くを回っていました」

「……偶然?」

「いえ、少しだけ、時間を調整しました。……気になっていたので」

その言葉に、思わず胸が熱くなった。

「……ありがとうございます」

神谷の隣に立つと、不思議と空気が柔らかく感じられた。

(この人の隣にいると、ちゃんと呼吸できる)

ふと足がもつれそうになった瞬間、とっさに神谷が手を添えた。

その手が、あたたかかった。

「……すみません」

「大丈夫です」

それだけのやりとりなのに、心がじんわりと満たされていく。