イケメン警察官、感情ゼロかと思ったら甘々でした

午後、仕事の資料を事務所に届けるため、久しぶりに外へ出た。

風は冷たく、日差しは曇りがち。
マフラーに顔を埋めながら歩いていると、いつもの街がどこかよそよそしく感じられた。

信号待ちでふと、後ろからの視線を感じる。

(……気のせい?)

恐る恐る振り返る。
けれどそこには、買い物帰りの親子連れと、スマホをいじる学生がいるだけだった。

(……違う。今のは、“見られていた”感覚だった)

足が自然と速くなる。

事務所の入り口が見えた瞬間、胸の中にほっとする空気が流れた。

けれど、背中に貼りついた不快感は、まだ完全には消えていなかった。