イケメン警察官、感情ゼロかと思ったら甘々でした

病院を出たのは、日が完全に落ちたころだった。

タクシーの窓から見える街は、相変わらずのざわめきをまとっていた。
けれど、美香奈にはそれが、どこか“遠くの世界”のように感じられた。

帰宅するだけなのに、心拍が早くなる。
あの玄関の前に立った瞬間、全てが蘇ってきそうで――怖かった。

アパートのエントランスには、管理会社のスタッフと制服姿の警官が一人、立っていた。

「おかえりなさい、橋口さん」

「……こんばんは」

「玄関前に仮設カメラとライトを設置済みです。何か異常があれば、すぐ記録が残りますので。
夜間は定期巡回も強化しています。こちらの警官が、今夜の担当です」

警官は軽く頭を下げた。

(……神谷さんじゃないんだ)

一瞬、そう思ってしまった自分に、苦笑がこぼれた。