交番の照明は、夜遅くでも変わらず白く光っている。
神谷は、デスクに腰を下ろしながら、手帳に記録をまとめていた。
橋口美香奈――
本日19時45分、連絡あり。訪問、現場確認。異常なし。備考欄に、“本人の不安強く、心理的要因の可能性も”と記す。
文字にすれば、それだけの報告になる。
けれど、実際には、もっとたくさんの感情がそこにあった。
(怖がりながらも、きちんと話してくれた)
(それでも、自分が“間違ってるかもしれない”と考えていた)
誠実だった。
律儀だった。
そして――弱さを見せることを、最後まで迷っていた。
神谷はペンを止め、ふと視線を遠くへやった。
(あの人が安心して眠れていれば、いい)
言葉に出すことはない。
でも、自然とそう思っていた。
書類を閉じ、椅子の背にもたれる。
いつの間にか、心の中でその名前をもう一度呼んでいた。
神谷は、デスクに腰を下ろしながら、手帳に記録をまとめていた。
橋口美香奈――
本日19時45分、連絡あり。訪問、現場確認。異常なし。備考欄に、“本人の不安強く、心理的要因の可能性も”と記す。
文字にすれば、それだけの報告になる。
けれど、実際には、もっとたくさんの感情がそこにあった。
(怖がりながらも、きちんと話してくれた)
(それでも、自分が“間違ってるかもしれない”と考えていた)
誠実だった。
律儀だった。
そして――弱さを見せることを、最後まで迷っていた。
神谷はペンを止め、ふと視線を遠くへやった。
(あの人が安心して眠れていれば、いい)
言葉に出すことはない。
でも、自然とそう思っていた。
書類を閉じ、椅子の背にもたれる。
いつの間にか、心の中でその名前をもう一度呼んでいた。



