イケメン警察官、感情ゼロかと思ったら甘々でした

「橋口さん」

名前を呼ばれると、それだけで胸の奥が静かに揺れる。

「今回みたいに、“何かあるかもしれない”と思ったら、また遠慮なく知らせてください。
僕たちが対応するのは、起きたことじゃなくて、“起きそうなこと”にも意味があると思っているので」

それは、警察官としての言葉。
でも――それだけではない“温度”が、確かにそこにあった。

「……はい。ありがとうございます」

美香奈は、今度は迷わず答えられた。

どこか不器用だけど、真っ直ぐで誠実。
その人柄が、言葉の隅々から伝わってくる。

「この前も、気のせいかもしれないって思って……結局、何も言わずに通り過ぎちゃって。でも、今こうして話せて、よかったです」

神谷は、小さくうなずいた。

「気づいても、言葉にするのは難しいですから。……僕も、そういうの、苦手で」

その正直な一言に、美香奈はまた、笑ってしまいそうになる。

(なんでだろう……この人と話すと、心がやわらかくなる)