イケメン警察官、感情ゼロかと思ったら甘々でした

玄関の周囲、ドアマット、郵便受け、階段の手すり――
神谷は一つひとつを確認しながら、丁寧に記録を取っていた。

その動きには、無駄がなかった。
けれど、急ぎすぎることも、いい加減にすることもなかった。

すべてを見終えたあと、神谷は美香奈の前に立ち、小さくうなずいた。

「外部からの明確な痕跡は、今のところ確認できませんでした」

「そう……ですか」

美香奈は、少しだけ安堵の息を吐いた。
その一方で、やはり“何かあったのでは”という思いも拭えなかった。

神谷は、そんな彼女の表情を見ながら、ふと口元をわずかに緩めた。

「……でも、橋口さんの“違和感”は、記録しておきます。気のせいかもしれないと思っても、今回みたいな直感が大事になることもあるので」

その言葉に、美香奈の胸がじんと熱くなった。

(この人、やっぱり……ちゃんと私を見てくれてる)

無口で、不器用で、でも――本当に、まっすぐな人だ。