「……はい、了解しました。では、そちらで再確認お願いします」
電話を切り、神谷はふっと小さく息を吐いた。
窓の外、視線の先に、彼女がいた。
橋口美香奈。
あの日から、何度か顔を合わせてきたが――
今日の彼女の表情は、少し違って見えた。
何かを言いかけて、言わずに通り過ぎたような。
それでも、一瞬こちらを見てくれたことに、神谷は救われた気がした。
(話さなかった、ということは……まだ迷ってるんだろうな)
押しつけるわけにはいかない。
こちらから無理に聞くのも、違う気がした。
けれど、何かあったら、必ず気づけるように。
そう決めて、ずっと意識の端で見守っていた。
“できることは限られている”。
それが、警察官としての現実だ。
でも、“何かあったら、動けるようにしておく”。
それだけは、いつだって、守りたいと思っていた。
彼女の背中が見えなくなったガラスの向こうを、
神谷はしばらくじっと見つめていた。
電話を切り、神谷はふっと小さく息を吐いた。
窓の外、視線の先に、彼女がいた。
橋口美香奈。
あの日から、何度か顔を合わせてきたが――
今日の彼女の表情は、少し違って見えた。
何かを言いかけて、言わずに通り過ぎたような。
それでも、一瞬こちらを見てくれたことに、神谷は救われた気がした。
(話さなかった、ということは……まだ迷ってるんだろうな)
押しつけるわけにはいかない。
こちらから無理に聞くのも、違う気がした。
けれど、何かあったら、必ず気づけるように。
そう決めて、ずっと意識の端で見守っていた。
“できることは限られている”。
それが、警察官としての現実だ。
でも、“何かあったら、動けるようにしておく”。
それだけは、いつだって、守りたいと思っていた。
彼女の背中が見えなくなったガラスの向こうを、
神谷はしばらくじっと見つめていた。



