昼下がり、書類を届けるために出たついでに、少し遠回りをして帰ろうとした。
気がつけば、いつもの交番の前を通っていた。
意識したわけではない――そう思いたかった。
交番の中に、神谷がいた。
窓際の席に座り、電話を取って何か話している。
その横顔は、やはり静かで、変わらない。
美香奈は歩きながら、ふとその視線に引き寄せられるように立ち止まった。
神谷が顔を上げる。
視線が合った――気がした。
ほんの数秒。
すれ違っただけなのに、心が少しだけ揺れる。
(話そうか――でも、やっぱり、今はいい)
迷いが、足を動かす。
結局、美香奈はそのまま軽く会釈をして、通り過ぎた。
神谷も、わずかにうなずいたように見えた。
言葉は交わさなかった。
けれど、その短い目線の交差だけで、“ちゃんと見てくれてる”という感覚が残った。
気がつけば、いつもの交番の前を通っていた。
意識したわけではない――そう思いたかった。
交番の中に、神谷がいた。
窓際の席に座り、電話を取って何か話している。
その横顔は、やはり静かで、変わらない。
美香奈は歩きながら、ふとその視線に引き寄せられるように立ち止まった。
神谷が顔を上げる。
視線が合った――気がした。
ほんの数秒。
すれ違っただけなのに、心が少しだけ揺れる。
(話そうか――でも、やっぱり、今はいい)
迷いが、足を動かす。
結局、美香奈はそのまま軽く会釈をして、通り過ぎた。
神谷も、わずかにうなずいたように見えた。
言葉は交わさなかった。
けれど、その短い目線の交差だけで、“ちゃんと見てくれてる”という感覚が残った。



