イケメン警察官、感情ゼロかと思ったら甘々でした

電車に揺られながら、窓の外をぼんやりと眺めていた。

朝のニュースも、通勤客のざわめきも、どこか遠く感じる。
屋上のことが、頭から離れなかった。

(結局、ただの業者だった。何もなかった)

それを思い出すたび、安心とともに、また別の感情が湧いてくる。

“あのとき、誰かに言いたかった”
真っ先に浮かんだのは、神谷の名前だった。

(話してもよかったのかな。いや……でも、ただの勘違いだったんだから)

何度も心の中で問い直す。
そして気づく。

――私は、“話したかったんだ”。

報告でも、通報でもなくて。
あの人にだけは、知ってほしかった。
そんな思いが、自分の中に確かにあった。

(……どうして、こんなふうに思うんだろう)

わからないまま、窓の外の空が、少しずつ明るくなっていくのを眺めていた。