イケメン警察官、感情ゼロかと思ったら甘々でした

名刺に手が触れたまま、美香奈は動けなかった。

(こんなことで、連絡してもいいの?)

誰かが屋上にいただけ。
それだけじゃ、証拠にはならない。

自分が過敏になっているだけかもしれない――
そう思い込もうとすればするほど、胸の奥がざわついた。

“また来ます”
“近くにいます”

あの手紙の文字が脳裏に浮かんで、喉の奥がひりつく。

でも、神谷に連絡をして、もしそれがただの偶然だったとしたら。
警察に迷惑をかけるだけじゃないか。
“被害妄想”だと思われたら、どうしよう。

考えすぎかもしれない。
今は、ただ気のせいかもしれない。

そうやって自分に言い聞かせながら、スマホをそっと元に戻した。

けれど――
その選択が、心をほんの少し、冷たく染めていった。