イケメン警察官、感情ゼロかと思ったら甘々でした

「これ、預かって本署に報告します。内容は刑事課にも共有されるはずです」

神谷の声はいつも通りのトーンだった。
冷静で、必要なことだけを簡潔に伝える。

それでも、言葉の端に――ほんのわずか、個人の気遣いのようなものがにじんでいた。

「……できるだけ、頻繁に巡回します。もし何か変だと思ったら、すぐ交番か……」

そこで言葉を切り、神谷は内ポケットに手を入れた。
そして、無言で名刺を一枚取り出し、カウンター越しに美香奈へ差し出した。

「こちら、交番の直通番号です。対応中などで出られない場合は、留守番に伝言を残してください。私が確認します」

名刺は、官製のものだった。
警察署の名前と所属、連絡先。その横に、硬いフォントで印字された“神谷涼介”の名前。

「……ありがとうございます」

受け取る指先が、わずかに汗ばんでいた。

ただの紙一枚。
けれど、その一枚が、心を支える“盾”のように思えた。