イケメン警察官、感情ゼロかと思ったら甘々でした

「橋口さん、ですよね」

ふいに名前を呼ばれて、美香奈は少し驚いた。

「……はい」

「あのとき、交番にいらっしゃったときに、名刺、出してましたよね。記録に残ってたので」

「あ、そうでしたね……」

ほんの一瞬だけど、あの日の自分の名刺を彼が目にしていたことを思い出す。

それだけのやりとりなのに、なぜか心のどこかがじんわりとあたたかくなる。

名前を呼ばれる――それだけで、相手との距離が少しだけ縮まったように感じた。

(“あなた”じゃなくて、“橋口さん”)

呼ばれるたび、胸の奥で何かがふるえる。
嬉しいような、恥ずかしいような、でも悪くない感情だった。

「……あの、神谷さん」

「はい」

「また何かあったら、相談してもいいですか?」

神谷はすぐにうなずいた。

「もちろんです。そのための仕事ですから」