捜査一課のブリーフィングを終えた神谷が、
コンビニで買ったホットコーヒーを手に、本部の休憩室へ向かう廊下を歩いていたときだった。
角を曲がった先――制服の青が目に飛び込む。
「あっ。……おーい、神谷!」
声に振り返ると、そこには懐かしい顔があった。
「……長谷川?」
「おう。珍しいな、俺が先に見つけるとは。
今日は違法薬物検挙の件で書類届けに来ててさ。刑事課へ申し送り」
長谷川は変わらぬ快活な声で笑い、神谷の肩を軽く叩いた。
制服のポケットには報告書の束、首元には真面目につけたネクタイ。
「てかさ、お前……なんか雰囲気変わった?」
「そうか?」
「うん。前より、なんつーか……“人間味”出たっていうか。
交番にいた頃より、ずっと落ち着いた顔してる。
……まさかとは思うけど、“彼女と順調です”って顔じゃねえよな?」
神谷はコーヒーを一口すすりながら、無言で長谷川の視線を受け止めた。
「……お前、余計な勘は鋭いな」
「図星じゃん。
マジか……美香奈さんと、今も?」
「ああ。おかげさまでな」
照れくさいように視線を外した神谷に、長谷川はにんまりと笑った。
「へぇ、へぇ……
捜査一課でバリバリやって、家に帰ったら彼女が飯作って待っててくれるとか?
羨ましいわ、ホント。背ぇ高くて、顔良くて、真面目で仕事できて、彼女美人で……」
「いい加減にしろ。休憩室、俺が使うから」
「はいはい、リア充刑事さん、がんばってくださいよ~」
肩をすくめながら去っていく長谷川を背に、
神谷は小さく息をついて、休憩室のドアを押した。
ドアの向こう、ほのかに香るコーヒーの香りに包まれながら、
ふっと笑みがこぼれたのは、誰にも見られていなかった。
コンビニで買ったホットコーヒーを手に、本部の休憩室へ向かう廊下を歩いていたときだった。
角を曲がった先――制服の青が目に飛び込む。
「あっ。……おーい、神谷!」
声に振り返ると、そこには懐かしい顔があった。
「……長谷川?」
「おう。珍しいな、俺が先に見つけるとは。
今日は違法薬物検挙の件で書類届けに来ててさ。刑事課へ申し送り」
長谷川は変わらぬ快活な声で笑い、神谷の肩を軽く叩いた。
制服のポケットには報告書の束、首元には真面目につけたネクタイ。
「てかさ、お前……なんか雰囲気変わった?」
「そうか?」
「うん。前より、なんつーか……“人間味”出たっていうか。
交番にいた頃より、ずっと落ち着いた顔してる。
……まさかとは思うけど、“彼女と順調です”って顔じゃねえよな?」
神谷はコーヒーを一口すすりながら、無言で長谷川の視線を受け止めた。
「……お前、余計な勘は鋭いな」
「図星じゃん。
マジか……美香奈さんと、今も?」
「ああ。おかげさまでな」
照れくさいように視線を外した神谷に、長谷川はにんまりと笑った。
「へぇ、へぇ……
捜査一課でバリバリやって、家に帰ったら彼女が飯作って待っててくれるとか?
羨ましいわ、ホント。背ぇ高くて、顔良くて、真面目で仕事できて、彼女美人で……」
「いい加減にしろ。休憩室、俺が使うから」
「はいはい、リア充刑事さん、がんばってくださいよ~」
肩をすくめながら去っていく長谷川を背に、
神谷は小さく息をついて、休憩室のドアを押した。
ドアの向こう、ほのかに香るコーヒーの香りに包まれながら、
ふっと笑みがこぼれたのは、誰にも見られていなかった。



