イケメン警察官、感情ゼロかと思ったら甘々でした

たまたま視線が合っただけかもしれない。
けれど――本能が、違うと訴えていた。 
これは偶然じゃない。
狙われている。
そう直感した。

美香奈は目を逸らさずに、男をじっと見返した。
「気づいていますよ」と、黙ったまま意思を示す。
だが、男は怯まなかった。
むしろ、笑った気がした。
唇の端だけが、微かに、引きつるように上がっていた。

そして、一歩。
ゆっくりと棚の影から出てくる。
距離が縮まる。
心臓が跳ねる。身体がこわばる。

このままでは、何かされるかもしれない。
足が自然と動き出す。
棚を背に、出口へ向かって早歩きになる。
店員の顔を探すように視線を巡らせたが、誰とも目が合わなかった。

店を出た瞬間、冷たい空気が頬を打った。
さっきまでの息苦しさから解放されたはずなのに、胸の奥はまったく軽くならなかった。

 ――あの男、何者だったの?
何かの勧誘? 変質者? ストーカー? いや、そんな確信すら持てない。

けれど、ひとつだけはっきりしていることがあった。

このまま、家には帰れない。