イケメン警察官、感情ゼロかと思ったら甘々でした

「……今日、署で上司に呼ばれた」

夕食を終えてソファで寄り添っていたふたり。
テレビの音はついていたけれど、誰も画面には目を向けていなかった。

神谷のその言葉に、美香奈は自然と神谷の方を向いた。

「どうしたの?」

「俺と君のこと、署内でちょっとした噂になってたみたいだ。
事件の関係者と個人的に近しい、って」

「……それって、問題になるの?」

「本来なら、なってもおかしくなかった。
でも……俺はきっぱり否定したよ。
事件中は、あくまで職務として接していたって」

美香奈は息をのんで神谷を見つめた。

「それで……どうなったの?」

神谷は、ふっと表情をゆるめた。

「“最初で最後だ”って、見逃してもらえた。
……その代わり、異動命令が出た。来月から、捜査一課」

「捜査一課……それって、あの?」

「本庁の捜査一課とは違うけど、県警本部の強行犯担当。
現場捜査をもっと深くやる部署。
降格じゃない――むしろ、評価された異動だと思ってる」

美香奈は小さく頷いたあと、
不安と嬉しさの入り混じったような声で言った。

「……そっか。そばにいられる時間は少なくなるかもしれないけど、
それって、きっと大きな一歩なんだよね」

神谷は美香奈の手をそっと取り、指を絡める。

「君との関係を守りながら、仕事でもしっかり結果を出す。
その両方をやっていきたい。……これから先、君と生きていくって決めたから」

その言葉に、美香奈は目を伏せ、そっと微笑む。

「……そう言ってくれるの、ずるい。
嬉しくて、ちょっと泣きそう」

「泣かなくていい。俺が泣かせるのは……嬉しいときだけでいいから」

ふたりは自然と額を寄せ合い、
そのまま静かに唇を重ねた。

あたたかな気持ちが、胸の奥に広がっていく。

変化はある。けれど、不安ではない。
それは――確かな未来へと続く変化だった。