その日の帰り道。
ビルの谷間に日が沈み、街灯がぽつぽつと灯り始めた時間帯。
美香奈は、コートのポケットに手を入れながら歩いていた。
日が暮れると、まだ冷たい風が頬にしみる。
交番の近くを通りかかったとき、向こうから神谷が歩いてくるのが見えた。
制服のまま、ゆっくりと街の通りを見回しながら歩いている。
その姿は、やはり少し硬く、無表情だった。
けれど、どこか背筋がまっすぐで、凛としていた。
(……気づいてくれるかな)
なんとなくそんなことを考えて、視線をそらせずにいた。
神谷はほんの一瞬、美香奈の方に視線を向けた。
そして、わずかに会釈する。
驚きと嬉しさが混ざって、胸の奥がじんわりとあたたかくなる。
「こんばんは」
小さな声で声をかけてみた。
彼は立ち止まり、ほんのわずかだけ口角を動かして――
「こんばんは。気をつけて帰ってください」
それだけ言って、また静かに歩き出した。
ビルの谷間に日が沈み、街灯がぽつぽつと灯り始めた時間帯。
美香奈は、コートのポケットに手を入れながら歩いていた。
日が暮れると、まだ冷たい風が頬にしみる。
交番の近くを通りかかったとき、向こうから神谷が歩いてくるのが見えた。
制服のまま、ゆっくりと街の通りを見回しながら歩いている。
その姿は、やはり少し硬く、無表情だった。
けれど、どこか背筋がまっすぐで、凛としていた。
(……気づいてくれるかな)
なんとなくそんなことを考えて、視線をそらせずにいた。
神谷はほんの一瞬、美香奈の方に視線を向けた。
そして、わずかに会釈する。
驚きと嬉しさが混ざって、胸の奥がじんわりとあたたかくなる。
「こんばんは」
小さな声で声をかけてみた。
彼は立ち止まり、ほんのわずかだけ口角を動かして――
「こんばんは。気をつけて帰ってください」
それだけ言って、また静かに歩き出した。



