イケメン警察官、感情ゼロかと思ったら甘々でした

「……ほんとに、美味しい」

「そりゃどうも。手を抜いた覚えはないからな」

テーブルの上には、
炒めた鶏と野菜の黒酢あん。ふわっと卵の中華スープ。
それに、炊きたてのご飯と、ちょっとした副菜。

見た目もきれいで、香りも申し分ない。
美香奈は頬を緩めながら、もぐもぐと口に運んだ。

「これ、お店出せるレベルだよ……。なんで隠してたの?」

「隠してたつもりはないけど。
……まあ、誰かに作って“美味しい”って言われるの、初めてかもな」

「ふふ、そっか。じゃあ私が、これから何回も言うね」

「何回も?」

「うん。……だって、また食べたいもん。何回でも」

神谷は、一瞬だけ驚いたような顔をして、
すぐに目を細めた。

「……じゃあ、また作るよ。君のために、何回でも」

美香奈は照れくさそうに笑いながら、箸を置く。

「……なんか、こうして並んで食べてると、
当たり前みたいに感じちゃうね」

「当たり前にしてもいい。俺は、そうしたい」

「……一緒に、ごはん作ったり、食べたり。
朝に“いってらっしゃい”って言ったり」

「うん、俺も――
“おかえり”って、言いたい」

視線が合う。
言葉は少ないけれど、ふたりの間に流れる空気は穏やかで、あたたかかった。

「……これって、“未来の話”になってる?」

「なってるな。……かなり、具体的な」

「うわ、恥ずかしっ」

「俺は嬉しいけど」

ふたりは目を合わせて、同時にふっと笑った。

食卓の上、ふたりのごはん茶碗が、ちょうど並んで置かれている。
それが、なんだかとても自然に思えた。