イケメン警察官、感情ゼロかと思ったら甘々でした

日曜日の昼下がり。
美香奈は、久しぶりに真木弁護士のオフィスを訪ねていた。

「落ち着いたみたいだな、顔色もいい。よく眠れてるか?」

「はい。……以前より、眠れるようになりました。
やっと“日常”ってものを、取り戻せた気がしてます」

そう言って笑うと、真木はゆっくり頷いた。

「……あの夜のことは、俺にとっても衝撃だった。
だけど君が無事でいてくれて、本当によかったよ」

一瞬、空気が沈みかけたが、美香奈は軽く息を吸って口を開いた。

「先生……私、これから被害者支援に関わる仕事をしたいと考えてるんです。
法的な知識を持ったうえで、心のサポートができるような立場に」

真木は目を細め、じっと彼女を見つめた。

「……それは、立派な志だな。
だが、無理はするなよ。君はまだ回復途中だ。焦らずに行け」

「はい。でも、あの夜に助けられた私が、
同じように誰かを助けられたらって……
そう思えるようになってきたんです」

真木は椅子の背に身体を預け、口元に笑みを浮かべた。

「……橋口美香奈が、そういうことを言うようになるとはな。
本当に、強くなったんだな」

「……そうでしょうか。私はまだ、怖いことも多いです」

「それでも前を向いてる。
それが何よりの強さだよ」

そう言って、彼はそっと手帳を開き、ある支援団体の名前と連絡先を記してくれた。

「まずは、ここから始めてみるといい。信頼できるところだ」

手帳を受け取った美香奈の手に、少しだけ力がこもった。

「ありがとうございます。……頑張ってみます」

その日の帰り道、空は優しく晴れていた。

胸の奥が、ほんの少しずつ、あたたかく膨らんでいくのを感じながら――
美香奈は、新しい未来へ向かって歩き始めていた。