イケメン警察官、感情ゼロかと思ったら甘々でした

翌朝。
目を覚ました美香奈は、ほんの数秒、自分がどこにいるのか分からなかった。

けれど、そばにある毛布の感触と、
部屋の隅に折りたたまれた神谷のコートを見つけた瞬間、
昨夜のぬくもりが胸に蘇った。

――恋人、なんだ。

そう実感すると、頬がじんわりと熱くなった。

キッチンへ行くと、メモが一枚。

『おはよう。仕事に行ってきます。冷蔵庫にスープ、温めて。
あと、今日もしんどくなったら、連絡ください。
神谷』

思わず笑みがこぼれる。

一緒に過ごす時間が特別だったわけじゃない。
けれど、こんな“日常”が、いまの美香奈にはとても貴重だった。

温めたスープをゆっくり飲みながら、
ふと、昨日のニュース記事を思い出す。

中原の事件が報道され、
被害者支援センターからの問い合わせも入っていた。

(私は……今後、どう生きていきたいんだろう)

そんな問いが、静かに胸に芽を出し始めていた。

怖さがないわけじゃない。
でも、あの夜を経て、
守られたことで気づいたことがある。

今度は――誰かの力になりたい。

「……真木先生に、相談してみようかな」

ぽつりとこぼれたその言葉は、
新しい一歩への覚悟を含んでいた。

そのとき、スマートフォンが震える。

《朝ごはん、ちゃんと食べてますか?》

――神谷涼介

すぐに返信する。

《はい。いただいてます。あったかくて、ほっとしました》

画面の向こうで、彼がほほ笑んでいる顔が、はっきりと思い浮かんだ。